この植物は英名でChain-of-love(愛の鎖)と呼ばれている。ピンク色の小さくて可憐な花をたくさん着けた姿は、その名にふさわしい雰囲気を感じさせる。筆者は長い間、この植物を「愛の鎖」として憶えていた。この名の方が植物のもつ雰囲気にふさわしく思えたからだ。そして、どうかすると正式な和名を思い出せないことがあったりする。
“Chain-of-love”の”Love”は、淡紅色の小さな花がハート形をしていることに由来すると、いわれている。すなわち、ハートとハートが繋がれた蔓(鎖)から”Chain-of-love”の名前が生まれたのだと思う。
英名でその他”Confederate vine”(同盟の絆)”Coral vine”(サンゴ藤)”Mexican creeper”(メキシコの蔓)、”Mountain rose”(山のバラ)”Pink vine”(ピンクの蔓)”Queen’s-jewels”(女王の宝石)”Queen’s-wreath”(女王の花冠)などと呼ばれている。また中国名で、「珊瑚藤」と呼ばれている。この植物につけられたこれらの名前からだけでも、この植物が長く伸びた茎に可愛いピンクの小花をたくさん着けた時の美しい姿をイメージすることができるのではないかと思う。
アサヒカズラ」は、メキシコ原産のつる性の半低木である。地下に塊根をつけて越冬する。茎は細くかたい。茎には稜角があり、四陵形になっている。茎は回旋せず、ややジグザグ状にのび、原産地では10~15mにも伸長する。茎の先端部の葉腋から花茎をのばし、5~15個の花を総状花序につける。花の直径は10~15mmで、花弁はなく、5枚の萼片が淡紅色に着色して花弁状になっている。花期は、夏から秋までであるが、熱帯域では、一年中開花している。よく結実し、先のとがった硬い種子をつける。
原産地では繁殖力が旺盛な美しいつる植物として人気が高く、広く栽培されている。フェンスや、テラスなどに這わせたり、生垣などによく利用される。また、白花をつける品種(cv.Alvum)もある。
地下部は、多肉状に肥大し、5kg以上になることもある。この塊根はナッツ様の風味があり、食用にされる。
また花序も調理して食べたり、サラダなどに添えられる。花の中に含まれている蜜は、ラテンアメリカの人たちが利用する蜂蜜(Dark honey)の主要な蜜源になっている。
(「プランタ」研成社発行より)